高知家庭裁判所 昭和54年(少)1024号 決定 1979年9月28日
少年 D・K子(昭和四〇・一・三〇生)
主文
少年を初等少年院に送致する。
少年に対して昭和五四年七月一九日当裁判所がなした少年を教護院に送致する旨の決定はこれを取り消す。
理由
本件非行事実
本件虞犯事由の要旨は高知県立希望が丘学園長作成の通告書中の「審判に付すべき事由」欄に記載のとおりであり、少年の性格環境に照し将来罪を犯す虞れがあるものである。
罰条
少年法三条一項三号イ、ロ
情状及び措置
調査審判の結果、少年には資質及び環境の両面に亘り、種々問題のあることが判明した。
その主要な点は少年調査記録に編綴の各資料に記載されているとおりである。
本少年は教護院に収容後ほどなくして無断外出等があつたために本件ぐ犯事件として立件送致されたものであるが、少年の入院当時に同院収容中の女子の間では無断外出がいわば流行していたためにこれに影響された面のあること、また期間的にも同院での処遇期間があまりに短く、その処遇效果を十分確かめえない時期にあることなどを考慮すると、いましばらく教護院での処遇に委ねることが本来望ましいかと考えられる事案であることは当裁判所調査官の昭和五四年九月二七日付意見書に記載のとおりである。しかしながら、現在教護院の側で本少年の受け入れに消極的な姿勢が強く示されていることや、その他同院の現況等も考えると、むしろこの際少年を初等少年院へ送致してその更生を計ることが最善の方法と判断されるので、主文のとおり決定する。
なお、(一)少年の家庭環境には特段の問題点は見当らず、非行化の主たる原因は不良な交友関係とこれに端を発する学校生活への不適応にあると解されること、(二)保護者は少年の更生に強い熱意をもつており、教護院での処遇に期待して少年を委ねたものであるが、上記のような経緯からわずかの期間の後に少年院送致となることについてやむをえないとしながらも、できるだけ速かに自らの手元で少年を更生させたいとの希望をもつていることが認められ、事案の性質からこのような保護者の意向もあながち無視しがたいこと、(三)現時点では少年にも更生への意欲が窺われること等の諸事情を勘案すると、少年の義務教育期間経過後はできる限り速かに社会内処遇に移行することが望ましいと思料する次第である。
適条
主文第一項、少年法第二四条第一項第三号、少年審判規則第三七条第一項、少年院法第二条。
同第二項少年法第二七条第二項。
(裁判官 四村則夫)
処遇勧告書<省略>